「いちばんゆるい血圧のお薬を1粒だけ飲んでます」
漢方相談をお受けしていると、患者様からときどき耳にする言葉です。
いちばんゆるい?と思いつつ、お薬で血圧のコントロールが必要な方なのだと理解します。
血圧は年齢とともに上がりやすく、
60代の方では約60%、70代では男性80%、女性70%程度の方にその傾向があると言われています。
若いころは血管はしなやかで、勢いよく流れている血液に対し血管がクッションになり、血圧が上がりにくいですが
加齢とともに血管の壁はしなやかさを失って硬くなります。
血管の壁が硬くなれば、血液はそのまま勢いよくぶつかって血圧は高くなるというわけです。
一次性高血圧症については、「加齢」が高血圧の最大の原因
「歳はとりたくないわ」と患者さんからよく聞いていた言葉ですが、私も身をもってわかる年齢になりました。
誰もができるだけ薬に頼らず健康でありたいものです。
だから、「1つだけ」という言葉になるのだろうと想像します。
さて、高血圧症のお薬「降圧剤」は体に働きかけるところ(作用機序)がちがうものが何種類かあります
代表的なものは、●カルシウム拮抗薬。
アムロジン(アムロジピン)、アダラート(ニフェジピン)などがあります。
●アンジオテンシン受容体拮抗薬
●アンジオテンシン変換酵素阻害薬
●降圧利尿薬
●α遮断薬、β遮断薬、
というぐあいに、高血圧のお薬はさまざまあり、2種類以上を併用している方も珍しくありません。
「1つだけ」を増やさないように、
「歳だから」とか「親も高血圧だから(遺伝だから)仕方がない」
「降圧剤を飲んでコントロールできているから大丈夫」
と、片付けてはいけないことは誰もがわかっているわけですが、生活習慣の見直しは重要です。
体には血圧を上げなくてはいけない理由があり、ただ薬を飲んでさげているだけでは
ガス漏れ警報器が鳴っているのに、警報器だけを止めてガスを止めていない状況。
血圧が上がる理由には
肥満、飲酒、喫煙、ストレス、運動不足
血液をドロドロにする食事の習慣、血管の弾力低下(血管の酸化したコレステロール)などがあります。
自分自身で日々の生活習慣で作っていることも多く
繰り返しになりますが、年齢とともに血管のしなやかさが減っていくので、習慣でかかっている負荷をリカバーすることが厳しくなってきます。
たとえば、若いころに比べて体重が増えた方、肥満が高血圧症をまねく原因になるのは有名です。
脂肪細胞がつくるアンデオテンシンノーゲンというたんぱく質の関与で血圧が高くなります。
「歳をとると代謝が悪くなるから太りやすい」「やせにくい」、というご相談をよく受けますが
漢方では、胃腸の弱りが原因ととらえます。
胃腸は、体にとって必要なものとそうでないものを分け、必要なものから「気・血・水」を
不要なものから「便と尿」をつくります。
その仕分けがうまくいかないため、太ってしまうこともあります。
単に、食事の量を減らすとか、糖質制限をする、のはまちがった健康法のことも多く、胃腸(とくに腸)の調子を健康へ保つことは重要です。
食べるものを改善して、毛細血管(微小循環)の血流を改善するなどの方法があります。
腸内細菌の「やせ菌」を味方につける方法で、体重がダウンし
結果的に血圧が安定するという例もあります。
気になる方は、ご相談くださいませ。