「妊娠してから、急に肌がかゆくなった」
「お腹に赤いブツブツが出て、夜も眠れない」

妊娠中は自分の体だけでなく、おなかの赤ちゃんのことも気になります。だからこそ、薬を使ってよいのか迷い、「妊娠中だから仕方ない」と我慢してしまう方もいるのではないでしょうか。
ところが、妊娠中のかゆみをすべて乾燥のせいにするのは早計です。
確認してほしいのは、かゆい場所だけではなく、発疹があるかどうか。これは病名を自分で決めるためではなく、産婦人科へ症状を正確に伝えるための大切な手がかりです。
妊娠中は、どうして肌がかゆくなるの?
妊娠中は体形や皮膚の状態が大きく変わります。お腹が大きくなるにつれて皮膚が引き伸ばされ、乾燥や刺激を感じやすくなることもあります。
また、妊娠をきっかけに湿疹が現れたり、もともとのアトピー性皮膚炎などが変化したりする場合もあります。つまり、「妊娠中のかゆみ」といっても、原因は一つではありません。
お腹の妊娠線から赤いブツブツが広がる場合
妊娠後半に、お腹の妊娠線付近から赤いブツブツや盛り上がった発疹が現れ、太ももやお尻、手足へ広がることがあります。
こうした症状では、妊娠性多形疹(PUPPP)など、妊娠に伴う皮膚症状が考えられます。ただし、見た目が似た皮膚疾患もあるため、写真だけでの判断はできません。
「妊娠性〇〇かな」と検索だけで結論を出さず、実際の発疹を医療機関で確認してもらうことが大切です。
発疹が目立たないかゆみで、確認したいこと
一方、赤いブツブツなどの発疹がほとんど見当たらないのに、強いかゆみが続く場合があります。
特に確認してほしいのは、次の3つです。
- 手のひらや足の裏が強くかゆい
- 夜になるとかゆみが増す
- かゆくて眠れないほどつらい
このような場合には、妊娠性肝内胆汁うっ滞症など、皮膚そのものとは別の変化が関係している可能性もあります。
妊娠性肝内胆汁うっ滞症は、主に血液検査で肝機能や胆汁酸などを確認して診断されます。かゆみだけで判断することはできませんが、「発疹がないから大丈夫」とも限りません。
なお、かき続けたことで赤みや傷ができることはあります。大切なのは、「かゆくなる前から発疹があったか」「かいたあとに赤くなったのか」も含めて伝えることです。
受診前に記録しておきたい3つ
かゆみは、診察を受けるときに限って少し落ち着いていることがあります。まるで病院の前だけ、おとなしくなる困った訪問者です。
そこで、次の3つを記録しておきましょう。
- 写真:発疹が出たときに、近くと少し離れた位置から撮る
- 場所:お腹、手のひら、足の裏など、かゆい部分を書く
- 時間帯:朝より夜が強い、入浴後に悪化するなどを記録する
いつから始まったか、眠れないほどか、使用した薬や保湿剤があるかも伝えられると、診察の助けになります。
市販薬を選ぶ前に、まず産婦人科へ
妊娠中でも、医師の判断のもとで使用できる塗り薬や内服薬はあります。しかし、妊娠週数、発疹の状態、これまでの病歴などによって選択は変わります。
自己判断で薬を追加したり、反対に必要な治療まで我慢したりせず、まずはかかりつけの産婦人科へ相談してください。必要に応じて皮膚科などと連携してもらえます。
皮膚や白目が黄色く見える、尿の色が濃い、便の色が薄い、胎動がいつもより少ないと感じるなど、気になる変化がある場合は、早めに産婦人科へ連絡しましょう。
「妊娠中だから仕方ない」で終わらせない
妊娠中のかゆみの多くが、重大な病気によるものとは限りません。それでも、かゆみは睡眠や気持ちまで削ってしまいます。
大切なのは、怖い病名を探し続けることではありません。
発疹の有無、かゆい場所、強くなる時間帯を確認し、産婦人科へ伝えること。
それだけでも、体の状態を確認するための大きな一歩になります。スマートフォンで写真を一枚撮り、症状をメモしておいてください。検索履歴を増やすより、こちらのほうが診察では役立ちます。
薬を売るだけなら、ここまで考えません。長年、店頭で相談を受けてきたからこそ、症状の奥にある「なぜ?」を一緒に考えたいと思っています。
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